P3140486


3Dプリンタを使っているとどうしても柔らかくて弾力のあるものも作りたくなります。
そこで出てきたのは弾力のあるフィラメント、フレキシブルフィラメントと言われるものです。
Makerbotなどの方でもフレキシブルフィラメントは販売していますがいかんせん高額です。
サードパーティ製品でもニンジャフレックスというものもあるのですが…困ったことに気軽に通販出来る感じじゃないんですよね。
一応国内販売は有りますけど。

そんな折にクロスリンク&リサーチさんからこういうの有りますので買ってみませんかとメールを貰いました。
それがこれです。

3Dプリンター用フレキシブルフィラメント PolyFlex 1.75mm 白

ここではPLAを主に扱っているようでしたが、まだ商品自体は少ないです。
しかし、硬質PLAとこのフレキシブルフィラメントの取り扱いがあるということでおおっ!と。
値段的にはやっぱり高いのですが1万かからずに購入出来るだけいいかなぁというところ。
フィラメントも少ないんですけどね。

気になってきたので色々質問をさせてもらいました。
ちょっと長くなるので続きは↓


少し高めのものということもあるし、全く扱ったことがない物なので不安もあります。
気になるのはどの程度の柔らかさがあるのか?
引っ張り強度などに関してはどんなものなのか?
特に積層方向に対する引っ張り強度はどの程度あるのか?
エクストルーダーの設定などで注意点があるのか?
ABSやPLAとの同時出力において、それらの別の素材へのくっつきはどの程度なのか?

このようなことを質問させてもらいました。
すると結構詳細で分かりやすい返信がありました。
わざわざメーカーへの問い合わせもしてくれたようです。

どの程度の柔らかさがあるのか?引っ張り強度などに関してはどんなものなのか?
PolyFlexの柔らかさ等の物性についてですが、
引張試験のデータでは、引張り強度は30~35 MPa、伸びは400%以上となっており、その挙動はやはりエラストマー(またはラバー)と言えます。
一方で、ショア硬さ(A)は90~95程度でした。ショア硬さは値が高いほど「硬い」ということになります(測定方法に色々あり、そのうちAという方法で測定されました)。Hotproceed様で販売されている「ニンジャフレックス」のショア硬さ(A)が85とのことですので、「硬さ」はそれより若干硬いということになります。
したがいまして、PolyFlexを使ってプリントした造形物は、ある程度フレキシブルに曲げたり、伸縮させたりできるものですが、輪ゴムのようなぷるぷるした感じではなく、もっとしっかりした構造物という印象になります。

特に積層方向に対する引っ張り強度はどの程度あるのか?
積層方向の伸びや引張り強度のデータは、まだ数値化していないとのことです。
しかしこれまで多くの造形物を出力してきた印象では、積層した各層間の粘着は強く、引張りに際して、層ごとに分離してしまうなどは起きないことは確認しております。

エクストルーダーの設定などで注意点があるのか?
エクストルーダーの速度につきましては、90 mm/sで使っていらっしゃるようでしたら、そのままお使いいただけると思います。
この点がPolyFlexの一つの売りでして、高温で融かした場合の粘りがそれほど強くないように分子設計しております。エクストルーダーから押し出すのに余計な力が必要ということはありませんので、3Dプリンターにも優しいフィラメントです。

ABSやPLAとの同時出力において、それらの別の素材へのくっつきはどの程度なのか?
PolyFlexとABSまたはPLAを用いた二色刷りの場合の境目の強度ですが、
PolyFlexとABSおよびPLAとの間の接着は中程度とのことです。したがいまして、
二つの間でくっつくものの、もしかなりの力を加えたり、力を何度も加えたりする過程では
二つが分離する可能性もあります(ただし、まだこの事例は報告されておりません)。
これを防止するためには、二つの間で噛み合うような構造(いわゆるインターロック構造)を3Dモデリング、および出力するという策があります。

ということでした。
分かりやすい。
ショア硬さなどは説明にあるようにゴムなどの反発を示す尺度ですが若干わかりにくいので一例を上げると…
ショア硬さ30が自転車のゴムチューブ
ショア硬さ90は野球の硬球
というところだそうです。
なんとなく想像がつきやすいかなと思いますが、反発の仕方としては硬球に近い感じということになりますね。
なので見た目だけでは柔らかいような感じは全くなく、一見プラスチックにしか見えません。

エクストルーダーに関しては巡航速度のみでしたが、印刷時の早さが90mm/s程度で有れば問題ないということ。
これはReplicator2Xの通常印刷速度と同じなので大丈夫だろうという感じ。

さてこれらを踏まえて実際に印刷です。

P3140483

まぁとりあえず柔らかい時点で覚悟はしていましたが…最初はひどかったですw
ラフトを作る段階でものすごく細くしかフィラメントが出てきませんでした。
恐らく原因はフィラメントの柔らかさと若干の粘性にあると思います。
柔らかいフィラメントはエクストルーダーのドライブギアと相性が悪いです。
特にデフォの状態のエクストルーダーだと挟みこみがしっかりしていない上に、粗いドライブギアの目のせいでまともに咬み合わないようです。
なのでとりあえずの処置として、エクストルーダーの設定のところを変えました。

{
            "bridgesExtrusionProfile": "bridges",
            "feedDiameter": 1.40, ←通常は1.75に設定
            "feedstockMultiplier": 0.93,
            "firstLayerExtrusionProfile": "firstlayer",
            "firstLayerRaftExtrusionProfile": "firstlayerraft",
            "infillsExtrusionProfile": "infill",
            "insetsExtrusionProfile": "insets",
            "nozzleDiameter": 0.4,
            "outlinesExtrusionProfile": "outlines",
            "raftBaseExtrusionProfile": "raftbase",
            "restartExtraDistance": 0.1,
            "retractDistance": 1.3,
            "retractRate": 25,
            "toolchangeRetractDistance" : 19.0,
            "toolchangeRetractRate" : 6.0,
            "toolchangeRestartDistance" : 18.5,
            "toolchangeRestartRate" : 6.0
        }

こんな感じです。
分かる人は分かる…と思います。
赤文字にしているところが変更点。
ここは本来フィラメントの太さを記入する場所です。
それによってドライブギアの回転数が若干変動して最適な早さでフィラメントが供給されます。
細ければ細いほど、単位時間あたりに多くフィラメントが送られるということになります。
つまり…出てくるフィラメント量が少ないのならここを調節して多めに供給されるようにしてみるか!という短絡的な発想です。
ここはやらなくてももしかしたらうまくいくのかもしれないですが、少なくとも今現状での私のマシンではこうする他ありません。

また、エクストルージョン設定で印刷時の速度等をいじりました。

extrusionProfiles": {
        "bridges": {
            "feedrate": 20,
            "temperature_disabled": 230.0
        },
        "firstlayer": {
            "feedrate": 20,
            "temperature_disabled": 230.0
        },
        "firstlayerraft": {
            "feedrate": 10,
            "temperature_disabled": 230.0
        },
        "infill": {
            "feedrate": 60,
            "temperature_disabled": 230.0
        },
        "insets": {
            "feedrate": 60,
            "temperature_disabled": 230.0
        },
        "outlines": {
            "feedrate": 40,
            "temperature_disabled": 230.0
        },
        "raftbase": {
            "feedrate": 10,
            "temperature_disabled": 230.0
        }

こんな感じ。
基本的に60mm/sを超えないように設定しました。
ちなみにラフトは使わないほうがいいです。
そのままでもプラットフォームに食いつくので、直に印刷するのを推奨したいと思いますw

それで先程の写真なのですが、上のサメが最初に作ったもの。
下のほうが再調節して作ったものです。

P3140484

最初に作ったものですね。見ての通り、表面に穴が開いています。
というのもフィラメントが溶けた状態だとフレキシブルフィラメントはものすごく柔らかくなりすぐに切れてしまうという特性があるようです。
なのでインフィルの値を大きめに設定しておいた方がこのような状態になりにくいのかもしれません。
もしくはもっと移動速度を下げる。

P3140485

二回目に出力したもの。
最初よりももっと綺麗に印刷できています。
これはフィラメントの送り速度を改善したせいだと思います。
見ての通り印刷出来た場合の肌はすごく綺麗に出来ます。いい感じ。

まぁこの出力に関してはドライブギアとエクストルーダー自体を改造してからもう一度チャレンジしてみようと思います。
そうすると恐らくまた設定変えることになると思うのでどうなることやら…。

さて、お待ちかね柔らかさです。

P3140486

なんか剥がれてるのは出てくるフィラメントが細いせいかシェルを2枚重ねているのが剥がれてるところです。
改善の余地ありなのですが、そもそもシェルを一層にしてしまえば恐らく問題ないでしょう。
とりあえず、柔らかさとしては見ての通り、結構柔軟性が有ります。
硬さの指標通り固いところに関しては結構力を入れて凹ませられるという感じ。
とは言えこの柔らかさはABSには出来ない芸当だし、このままで普通にダンパーとして使えそうです。

P3140487

指には結構力が入っています。
方向によっては構造のせいで歪みにくい状態になります。
この辺は柔らかさを出す方向と丈夫さを出す方向というように考えて出力するといいかもしれないですね。

P3140488

気になっていた引っ張り強度。
積層方向に剥がれたシェルを一枚引っ張っているわけですが…結構力を入れて引っ張りましたが破ける様子はありませんでした。
普通の使い方してるぶんには恐らく壊れないでしょう。
情報通り結構強固にくっついているようです。素晴らしい。

ちなみに、プリントするときにプラットフォームは殆ど加熱しなくてもこのフィラメントはくっつきます。
すごいです。
どれくらいかというと…

P3140489

こんな感じ。
右はカプトンテープを敷いていますが、左は剥がしています。
つまりアルミむき出し。
それでも動かないでくっついているんですね。
もちろん吸着力はかなり落ちるのでこのままでの出力は考えないほうがいいと思いますが。
とりあえずちょっと印刷してみて思ったのはこのくらいですかね。

やらなきゃいけないことは…。
エクストルーダーの改造。バネでフィラメントを押さえこむ形のものへのアップグレード。
ドライブギアを精度のいいものに交換。
恐らくこれだけで大分変わるんじゃないかと思います。
印刷自体はすでにある意味成功はしているので、今度は二色刷りにして試してみようかな。